従来、株主総会の開催場所は物理的に存在する場所(会議室や、ホテル会場等)でなければいけませんでしたが、令和3年6月16日より、ZOOM等のオンライン上で開催するバーチャルオンリー株主総会が上場会社でのみ可能となっています。(産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律)
バーチャルオンリー株主総会を開催できる会社とは
バーチャルオンリー株主総会を開催することが出来る会社は、次の①②を満たす上場会社です。
①経済産業大臣と法務大臣両方の確認を得ている
②バーチャルオンリー株主総会を開催できる旨を定款で定めている
*ただし、令和5年5月16日までは、①を満たしている会社は②の定款の定めがあるものとみなされるため、定款変更手続きを経ることなく、バーチャルオンリー株主総会を開催することが出来ます。
バーチャルオンリー株主総会のメリット
バーチャルオンリー株主総会は、遠隔地にいる株主の参加が容易となり、感染症対策にも効果的で、会場設営等の運営コストも削減できるといったメリットがあります。
今のところは上場会社に限定されていますが、社会のデジタル化とともに、今後中小企業にも広く対象となれば、多くの会社にとって柔軟な株主総会の運営が可能となるのではないでしょうか。
非上場会社の場合は
非上場会社は現行法上バーチャルオンリー株主総会は開催できませんが、複数の株主が遠隔地にいて会場参加が難しい場合は、委任状出席の方法(総会に出席できない株主が他の出席株主に委任状を渡し、一部の株主のみの出席で開催する方法)や、書面決議による方法(総会を開催しない代わりに議案を予め書面で株主に提示し、株主が同意書を提出する方法)をとることで、株主総会また株主総会に代わる手続が可能です。
バーチャルオンリー株主総会の今後
上場会社では、委任状出席も書面決議も手続きが煩雑となりがちなため、このバーチャルオンリー株主総会は画期的のようにも思いますが、実際に開催するとなれば企業側の通信設備等の運営体制もさることながら、株主側のインターネットリテラシーもある程度は必要となるはずですので、今後どのように広がっていくか注目されます。