成年後見人の仕事は、財産管理と身上監護に大別されます。
財産管理とは、不動産や預貯金・有価証券の管理等のことを指し、皆様にも比較的イメージしやすい仕事内容かと思います。
それでは身上監護とはどのようなことをいうのでしょうか。
身上監護とは
身上監護とは、ご本人(被後見人)の本人の生活と療養看護に関するお仕事です。
具体的には、介護サービスの契約、施設への入所契約、入院契約などが身上監護にあたります。
誤解が多い点として、おむつ替えなど実際に介護を行うことは、後見人の職務ではない、という点があげられます。
おむつ替えが必要な場合は、そのような介護サービス契約を締結する、というのが後見人の職務となります。
身上監護をするために
身上監護のお仕事をするには、ご本人の状態をきちんと把握しておく必要があります。
ご本人がいまどういう状況で、どのような課題があり、どういった介護サービスや福祉用具を導入したら良いのか、ご本人の現状が分からなくては適正な選択ができません。
当事務所の場合、月1回はご本人に会いに行き、ご本人または施設の担当者の方とお話を聞いたりして、ご本人の状況把握に努めています(コロナ禍の現在においては、面会禁止の施設があったり、当事務所の感染症予防のため、対応は流動的です)。
ご本人と意思疎通ができない場合は、お元気な頃のご本人をよく知るご家族とお話をお聞きし、ご本人の性格・生死感・価値観などを把握しながら、ご本人にあった生活が送れるような配慮も行うようにしています。
さいごに
身上監護は、やはりご本人のことを良く知っている身近なご親族が行うのが一番適任ではないかと私は思っています。
近年は、財産管理は司法書士等の専門職、身上監護はご親族、というようにそれぞれ役目を分けて二人の後見人が選任されることも増えてきました。
後見開始の申立てをご希望されている方は、こうした様々な選任パターンがあることを知っておくことで、ご自身の希望を家庭裁判所に伝えることもできますし、後見開始後のイメージもつきやすいのではと考えます。