不動産の贈与手続きにつて、贈与契約締結前に準備または検討をしておく事項をまとめました。
費用
贈与手続きで一番負担が大きいのは税金です。「いくら課税されても構わない」という人でなければ、まずは税金がいくらになるかを把握しておいた方が良いでしょう。
不動産の贈与には一般的に次のような税金と費用が発生します。
- 贈与税
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 専門家の手続き報酬
このうち贈与税については、夫婦間や親子間の場合、一定の要件を満たすことで負担を軽減する特例措置があります。詳細は税理士や税務署におたずねください。
登録免許税は、名義変更登記の際に納める税金です。税率は不動産の固定資産税評価額の2%、1000万円の不動産であれば20万円が登録免許税となります。
また、贈与契約書の作成、登記手続、税務相談/税申告を専門家に依頼する場合は、それぞれ専門家に支払う手続き報酬が発生します。
専門家の手続き報酬は、事前に見積書を取っておくと知ることができます。
贈与後のこと
当然ですが、贈与者(不動産を手放す人)は所有権を失います。特にご自宅を贈与する場合はご自身の居住権を失う可能性をふまえて手続きを選択してください。
よくある誤解ですが、親から子に贈与した後、子が親より先に亡くなってしまった場合、贈与した不動産は必ずしも親に戻ってくる訳ではありません。
贈与した不動産は子の相続財産となり、子が婚姻し子供を設けている場合は、第1順位の相続人である、子の配偶者と子供(親から見た孫)に相続されます。
贈与を検討する際には、将来的な家族関係の変化も視野に入れた方が良いでしょう。
不動産の調査
農地は農地法の制約があり、誰にでも贈与できるわけではありません。
原則は農業適格者に限定されており、農地法の許可が必要です。
農地以外でも、土地の前面道路が私道で持分(通行権)を持っていていたり、古い抵当権が抹消されずに残っている等、対象不動産に付随して様々な権利がついている場合は、それらの権利関係も把握しておいた方が良いでしょう。
道路の通行権のない土地や、古い抵当権がついたままの不動産は、売却や融資の担保設定をする際に、大きな支障となり得ます。
贈与を受ける側が後々困ることが無いよう、対象不動産に係る権利関係も事前に確認しておくことをお勧めします。
これらの調査には、不動産の登記簿謄本や、不動産の権利証、土地の公図、購入時の資料等が手掛かりとなります。
贈与手続きの相談先
税金に関することは税理士や税務署へ、贈与契約書作成や登記手続きについては司法書士や管轄法務局におたずねください。
ご相談の際は、不動産の固定資産税納税通知書や登記簿謄本があると便利です。